送信部ファイナルの設計

ファイナルには、2SC1971 、ドライブ段には、2SC1970 を使用しています。
それぞれバイアスは、AB級で動作させています。ファイナルのアイドリング電流は、200mA、ドライブ段は、60mA程度に設定しています。
ドライブ段での出力は、1W( at 50Ω )、ファイナルの出力は、5W です。
バイアス温度補償用のダイオードD1 と D2 は、それぞれファイナルとドライブのトランジスタにシリコングリスでしっかり熱結合させる必要があります。

ファイナル部の入出力は、インピーダンスマッチングをきっちり設計する必要があります。そこでファイナル基板のみ、基材にストレーの影響が小さくできるガラエポを使用しました。
ちなみに他のすべての基板は、ベークを使っています。144MHz帯ぐらいまでは、ファイナル回路以外、あえてガラエポの必要は、なさそうです。

回路の安定化のためにドライブ段とファイナルの間には、3dBのパッドを挿入しています。
このパッドがないと発振することがありました。

また、ファイナルのベース入力は、約5Ωですのでベースのマッチング回路でドライブ段出力50Ωのインピーダンスを5Ωへ変換しています。
しかし、マッチング回路でインピーダンスを5Ωへ変換できるのは、設計周波数(144MHz)だけです。
そこで回路を安定に動作させる為に、いかなる周波数でもベース回路のインピーダンスを低く保てるようにRin を挿入しています。
ただし、このRinと-3dBのパッドによりドライブ電力のロスが発生しますが、ゲインに余裕があるのでファイナルを充分ドライブ出来ています。

ファイナルの出力側は、インピーダンスを10Ω⇒50Ωに変換後、定K π型3段のLPFを通してアンテナへ出力します。
出力のマッチング回路には、通常のセラミックトリマより少しボディーが大きいフィリップストリマを使いましたが、5W程度の出力なら耐圧に問題は、なさそうです。