送受信切り替え時のポップ音対策設計

送受信切り替え時のポップ音は、気にしだすと結構気になるもので、このあたりがメーカー製のリグとの品位の差となって現れてくるようにも思います。
このリグでは、ポップ音について、こだわって設計してみました。

ポップ音を出さない秘訣は、送受信の切り替え時に AF信号系の DCバイアス変動を生じさせない事です。ポップ音対策としてトランジスタスイッチなどでAF信号系を muteする回路がありますが、この方法はmute回路自体がポップ音を生じさせることもあり、あまり積極的に使わない方が良いと思います。
仮に送信系と受信系でAF信号ラインに10mVのDC変動が生じたとした場合、このDC変動分が増幅度100倍のアンプに入力されると1VのDC変動となって、スピーカのコーンを震わせます。
従って、送信系と受信系のDCバイアスをいかに合わせ込むかがポップ音を出さないカギとなります。
このリグのAF信号系の系統図を以下に示します。
先ず、SSB送受信のときはアナログスイッチ4053の#1pin と #2 pin の間が切り替わります.。SSB送信中 C1は、#1pinに繋がりますが、#1pin は、1/2Vccを基準に動作するオペアンプの出力に接続されていますので、C1 は、1/2Vccにチャージされます。また、このとき #14pinから#2pinの経路 も1/2Vccとなっています。
SSB受信中は、C1の1/2Vccのチャージ電圧が #2 pin経由で #14pin に繋がりますが、この経路は、もともと 1/2Vccとなっていますので結局、送受信で#14pinに現れるDC変動は、生じません。

次にCW送受信のときはアナログスイッチ4053の#12pin と#13pin の間が切り替わります。受信中 #12pinは、#14pin経由でオペアンプに繋がり、1/2Vccとなっています。このとき、C1も1/2Vccにチャージされます。
送信時、アナログスイッチ4053は、#13pinに繋がりますが、#13pinは、1/2Vccに接続されていますので#12pinとのDC差は無く、#14pinに現れるDC変動は、有りません。
また、送信時C1のマイナス側は、CWキャリア発生用のDC電圧が印加されますが、C1のプラス側 ( #2pin から #12pin の経路 ) は、このときオープンとなっていますから、受信中にチャージされたC1の電圧は変わりません。
従って再び、CW受信となったときも#14pinのDC電圧は、1/2Vccのままとなり、ポップ音は出ないことになります。