ロッドアンテナを利用した移動用50MHzダイポールアンテナ


長さ1.5mのロッドアンテナ2本を利用した移動用の50メガダイポールアンテナを製作しました。
ロッドアンテナを使用しているので、軽量で小さく折りたため、簡単に設営、撤収できます。
また、マッチング回路を入れてありますので、ロッドアンテナの長さを調整する必要は無く、1.5mのロッドを全部引き伸ばした状態で50オームの同軸ケーブルにマッチングするようになっています。
従って設置時に定規で長さを測ったり、ロッドに長さの目印を付けて置く必要がありませんので楽に設営できます。


給電部は、厚さ12mmの杉材を使用しています。
ロッドアンテナがしっかり固定できるように杉材に浅い溝を付けてロッドアンテナを取り付けています。


ロッドアンテナは、長さ1.5m 10段 のもので、根元の太さはφ9mmです。


ポールへの取り付けは、Uボルトとマストクランプを使用しています。


給電部の回路を示します。
調整は、トリマーを回してVSWR最小となるようにするだけです。この諸元でVSWR1.1となりました。
また、トリマーは一旦調整してしまえば、あとは再調整の必要はありませんので、トリマーの容量を測って固定コンデンサに置き換えても良いと思います。( トリマーの値は27pF となりました。)
トリマーの調整だけではVSWRを追い込めない場合は、Lの巻き数を増加減してみます。


VSWRの周波数特性は結構ブロードで、52MHzぐらいまでVSWR 1.5 以下で使用でき、非常に広帯域な特性になっています。



尚、今回製作したアンテナの給電点インピーダンス( ロッドアンテナの根元のインピーダンス)は、L と C の値からスミスチャート上で逆算して 85+j27 Ω と求まりました。
これは、エレメントの電気長が共振周波数より若干長いためにインダクティブとなっている為と考えられます。




給電部の詳細です。0.48uHのコイルは、0.3φUEWをトロイダルコア T37#6 に等間隔で13回巻きします。
フロートバランは、トロイダルコア FT82#43 に1.5D-2Vの同軸ケーブルを8回巻きしています。


自宅の隣の空き地で地上高4mに上げて、このアンテナを実験していたところ、広島県深安郡の移動局がCWで出ていましたので、出力5Wでコールしたところ、599FBのレポートをもらいました。(移動局からのレポートなので少し割り引いて考えた方が良いとは思いますが、最後にFBと付いていたので、まぁまぁ飛んで行っていたのでしょう。受信は、559ぐらいでした。リグはFT-817)

まだ、使用実績としては少ないのですが、結構実用になるようなので気をよくしています。


 この状態で4エリアと交信できました。


失敗談

当初、マッチング回路は不平衡なので、下図のようにアンテナエレメント⇒フロートバラン⇒マッチング回路⇒同軸ケーブルというように接続したほうが良いだろうと思いました。
ところが実際にやってみると VSWRは1.0まで下がっているのに全然、電波が飛んでくれませんでした。
(聞こえている局を次々とコールしましたが、全く応答がありませんでした。ショック!)



飛ばない理由を色々考えてみたのですが、今ひとつ良く分かりません。
ただ、マッチング回路側からフロートバランを見たインピーダンスが33-j60 Ωとなっていました。
アンテナエレメントのインピーダンスは前述したように85+j27 Ωですので、フロートバランの線路の特性インピーダンスとミスマッチして、その結果フロートバランでインピーダンスが回ってしまっているようです。
33-j60 Ωというと丁度、エレメントを短縮したダイポールと等価です。
このことで、フロートバランやマッチング回路部での電流分布が大きくなり、結局、実効長が短くなって飛ばないアンテナになっているのかなぁ?などと考えています。(短縮したアンテナに無理やりアンテナチューナーでVSWRを下げて使っているような事と等価。フロートバランもアンテナの一部になっている?)

この推論は正しいかどうか、分かりませんが(^^;


更なる改良案?

アンテナエレメントは、平衡なのでそれに接続するマッチング回路も下図のような平衡な形のほうが良いような気がしていますが、本当にこれで良いのかナ???
また、気が向いたら実験してみようかと思っています。
アンテナは、LCRだけの単純な等価回路で現されますが、その動作は結構難しいモノですね。