7MHz CW用10W ブースタ回路図

回路の概要

広帯域型のC級アンプです。C級ですのでSSBに使用することは、できません。

出力のマッチングは、1:9の伝送線路トランスで行っています。

入力は3dBパッドで直接接続しています。
エミッタがグランドに接続されているため、3dBパッド側からベースを見るとダイオードと等価となり、ダイオードの非線形特性から歪みが発生します。
このブースタの試作段階で、ベースに発生した歪みのために見事に逓倍器となり、14MHzを出力していました。
しかし、悪い事に出力部にあるLPFのために14MHzの出力は、キャンセルされ、7MHz の基本波だけがアンテナ端子に出てきていましたので、逓倍動作していることになかなか気付きませんでした。

ただ、このような動作をしている時は、効率が異常に低くなっているので、コレクタ電流を計ってみると分かります。
この対策としてベースにシリーズに15Ωの抵抗を挿入し、歪みの発生を低減しています。

それから、このアンプはC級動作していますので、ベース入力信号の負の半周期、トランジスタはOFFしていますが、このときベースは、逆バイアス状態となります。
試作段階でこの逆バイアスの大きさを測定したところ、ピーク値で約-7V ほどになっていることが分かりました。
いわゆるVEBOですが、一般的にほとんどのトランジスタのベースエミッタ間の逆耐圧は、-4~-5V程度に規定されています。
2SC1945 の VEBO も-5V となっています。
試作段階では、トランジスタが破壊することはありませんでしたが、長期間の使用の間に徐々にトランジスタが劣化することも考えられます。
この対策として、回路図のようにベースエミッタ間に D1 を挿入しています。

なお、 D1 は必ず小信号用のシリコンダイオードを使用します。
D1では、負の半周期のエネルギーを全て消費させますので発熱が心配ですが、今のところ問題は起こっていません。
発熱対策としてD1に電流容量の大きい整流用のものを使ってみましたが、整流用のものは、リカバリタイムが長く、高周波には使用できませんでした。

送受切替のリレーは、12Vのものを13.8Vで使用していますがリレーのスペックは、+30% ( at 60℃ )まで保証していますので、一応OKです。

送受の切替は、トランシーバ側からの CONTROL 信号でおこないます。CONTROL 信号は、Low アクティブです。

部品実装については、扱う周波数が7MHz ですので、それほど神経質になる必要は有りません。ただ、入出力が近接しないように注意します。