Sメータ回路

AGC電圧が入力信号に対して二リアに変化するのでSメータ回路もAGC電圧を忠実に増幅してくれないとSメータの直線性が失われます。
そこで、本機ではSメータアンプにオペアンプを使用しています。
AGC検波出力は、DC的にかなりハイインピーダンスですので、使用するオペアンプには高入力インピーダンスC-MOSオペアンプLMC662を使用してAGC検波出力に対して影響を与えないようにしています。
このLMC662は、単電源で入力0Vから動作するので、AGC電圧可変範囲0V~3Vでうまく動作してくれます。


以下に本機のSメータ回路の基本形を示します。
ボルテージフォロアーでAGC電圧を受けた後、反転増幅してSメータを振らせています。
(実機には、電源ON/OFF時のメータ振り切れを防止するメータミュート用トランジスタスイッチや、送信時にSメータをOFFするアナログスイッチなどが実装されています。)


なお、AGC検波回路に少し温度特性があり、温まってくるとAGC検波出力が0.1V程度高くなり( IFゲインが若干上がる方向 )、それにつれてSメータのゼロ点も少し左に振れてきます。
AGC検波出力の変動は、ゲインが高くなる方向であり、またその変動分も僅かですので、AGC検波回路の温度特性については特に対策せず、Sメータ回路のほうでゼロ点の変動を抑える工夫をしました。

上記Sメータの基本回路中にあるダイオード3本シリーズになっている部分がその対策です。
シリコンダイオードの順方向電圧は、約-2mV/℃の温度特性を持っているので、3本シリーズで-6mV/℃の温度特性になります。
このダイオードの温度特性でAGC検波出力の変動によるSメータのゼロ点移動を打ち消しています。