結合係数 k の測定

1次コイルと2次コイルの結合度を示す結合係数 k の測定方法を説明します。


2次コイルを持つコイルは下図のような等価回路で示されます。
下図で L は自己インダクタンスです。相互インダクタンスと漏洩インダクタンスがT型に接続されているところに理想トランス(インピーダンス変換比が完全に巻数比の二乗になる)が入った形です。
この回路で2次側をオープン / ショートしてみます。
この場合、理想トランスは無いことと等価になりますので、理想トランスは省略して1次側からインダクタンスを観測します。

このとき、

2次側オープン時のインダクタンス Lo = L
2次側ショート時のインダクタンス Ls = L -k^2 L

となり、この式から結合係数 k は

k = √ ((Lo - Ls) / Lo )

と求まります。


等価回路からわかるように結合係数 k が大きい(1に近い)場合、2次側をショートする(即ち2次側の負荷が重い)と1次側から見たインダクタンスLs が小さくなることが分かります。
このように結合度の高い2次リンクを持つ同調回路ほど負荷が重いと、その共振周波数がズレることになります。


なお、2次側をショートして測定する必要があるため、インダクタンスの測定は下図の方法で行いました。
1次側から共振周波数を測定してインダクタンスを求めるます。このとき、オシロのプローブの影響を出来るだけ回路に与えないようにするため、Ccを通して測定します。
(オシロのプローブは10:1プローブでも 9pF 程度の容量を持ちます。Cc を 1pF とすると 9 // 1 = 0.9 pF の容量まで低減することができます。)

インダクタンス Lo は、共振周波数を fo とすると

Lo = 1 / ( 4・π^2・fo^2・ Co )

で求めることが出来ます。


結合係数 k が低いコイルは「悪いコイル」というような評価を時々、耳にしますが用途にもよると思います。
リンク付きの同調回路を使用する目的は主にそのフィルター効果を期待したものだと思いますので、回路との結合は浅くして2次側の影響を受け難くし、出来るだけQを上げるように使用するのが本来の使い方でしょう。