Qの測定

コイルの無負荷Q (Quとします) の測定は、コイルとコンデンサで直列共振回路を形成してその周波数応答を測定し、Qu = 共振周波数 ÷ 3dB帯域幅 として求めます。

測定方法を下図に示します。




信号源として アンテナアナライザ MFJ-259B を使用しました。このアンテナアナライザの出力はNFBがかかって制御されていますので、170メガまでほぼフラットな出力になっており、私は信号源として結構、重宝して使っています。

信号源の周波数を可変し、7kコイルとCoによって形成される共振回路の周波数応答を、出来るだけオシロのプローブの影響を与えないように (10:1プローブでも 9pF 程度の容量成分を持っている) 2次コイル側からCcを通して測定します。( Cc はオシロで観測できる範囲で、できるだけ小さい方が良い)

なお、共振コンデンサ Co はセラミックコンデンサを使用します。セラミックコンデンサのQは2000以上あり、コイルのQよりはるかに大きいので測定に影響を与えません。
(Co にバリコンを使用するとバリコンのローターの接触抵抗がQに影響する場合があります。バタフライバリコン(スプリットステータバリコン)ならOKです。)


まず、共振しているときの電圧から-3dB低下(0.707倍)する周波数 (上側を fH 、下側を fL とする) をオシロで測定し、以下の式で見かけの Qu’ を求めます。

Qu’ = ( fH + fL ) / 2 / (fH - fL )

このとき、共振回路にシリーズに入る見かけの抵抗 Rs’ は

Rs’ = X / Qu’

∵X は共振しているときのコイルまたはコンデンサのリアクタンス、 共振周波数を fo とすると X = 2πfoLo = 1 / ( 2πfoCo)

ここで、MFJ-259Bの出力を0.5Ωの抵抗r に印加していますので、この部分を書換えると ( 鳳テブナン定理 )、下図のような直列共振回路に r がシリーズに入る形になります。( r はQu を下げることになります。)

従って、コイルだけが持つ真のRs は

Rs = Rs’ - r

従って真のQu は

Qu = X / Rs 

で求めるとことが出来ます。


なお、2次コイル側からCcを通してオシロで電圧を測定しますので、その波形は結構汚く、下図のような波形が観測されます。

 Cc を通して観測した波形。ハイインピーダンスすぎて商用電源の誘導を受けている。

この波形から電圧値を読み取るには、少しワザが必要です。
慎重にオシロのトリガーレベルを調整すると下図のように波形を観測することができます。
(どうしてもトリガーレベルを調整できない場合は、Cc を大きくしてみます。)

 トリガーレベルを上手く調整すると波形が観測できるようになる。