サトー電気7k用のコアと FCZコイルのコアの透磁率

FCZコイルのコアの種類には、9メガ帯以下のコイルに使用される鼓型コア+被せるコアのもの、14メガ帯~50メガ帯のコイルで使用される青コア+被せるコア、80メガ帯の赤コア+被せるコア及び144メガ帯の赤コアのみ(被せるコア無し) の組み合わせがあります。

FCZコイル7k :左から 1.9 / 3.5 / 7 / 9 / 14 / 25 /50 / 144 メガ帯用

 FCZコイル7k 7メガ: 鼓型コアに直巻きされている。被せるコアを回してL値を調整する。

 FCZコイル7k : 14~50メガでは左の青コア、80メガ144メガでは右の赤コアが使用されている。

 FCZコイル7k : 144メガ用。 赤コアと被せるコアの代わりに被せるプラスチック成形品。

 サトー電気7k : 左 黒コア、右 緑コア




各コアの比透磁率測定

それぞれのコアの比透磁率Us を測定したところ、以下の結果となりました。
(コアの有るときと無いときのインダクタンスを比較し、真空中の透磁率 ≒ 空気中の透磁率 として測定)

FCZコイル
FCZ 鼓型コア                   Us = 5
FCZ 鼓コア用の被せるコア           Us = 1.7

FCZ 青コア+被せるコア            Us = 2.3
FCZ 青コア+被せるコア+シールドケース Us = 1.7

FCZ 80メガ / 144メガ用赤コア       Us = 1.7



サトー電気
緑コア+被せるコア               Us = 1.9
緑コア+被せるコア+シールドケース     Us = 1.8

サトー電気
黒コア+被せるコア               Us = 1.8
黒コア+被せるコア+シールドケース    Us = 1.8




考 察

FCZコイルの鼓型コアの透磁率は、サトー電気のものより2倍以上あります。
これは、大きなインダクタンスが必要な9メガ以下の周波数帯において巻き線長を短くできるので、銅損を減らす、つまり無負荷Q ( Qu とします)を上げる効果があります。
だた、このことは結合度が上がることにもなり、さらに1次コイルと重ねて2次コイルを巻いていることも合いまって、かなり結合度の高いコイルになっています。
従って、2次側負荷の影響を受けやすいコイルであるという見方も出来ます。

サトー電気の緑コアは、シールドケースを被せると少し Us が下がりますが、黒コアの方は、ほとんど変化がありません。
緑コアに線を巻く場合は、最終的なインダクタンスはシールドケースを被せてから測定しないとズレが生じるでしょう。

また、サトー電気の黒コアは緑コアに比べて50メガ帯以上で Qu が低下する傾向にあります。
これは、高い周波数領域でコアの損失(鉄損)が増えるためと考えられます。
Qu が低下すると回路へのコイルの挿入損失が増えますが、電力伝送という点だけについて考えると、回路のインピーダンスマッチングも大きな要素になりますので、ただ単にQが低いコイル = ダメなコイル とは言えないと思います。

以下は、このことを示す実験例です。
信号源からの信号が2次コイル側に接続された負荷抵抗47Ωにどの程度伝送されるかを測定したものです。
FCZコイルのほうが、サトー電気のコイルより Qu が高く、結合係数 k も高いのですが、負荷抵抗の両端に現われる電圧は、むしろサトー電気のコイルの方が大きくなりました。