受信部IF増幅段とAGC回路

IF増幅は Paddy Fielder 40 と同じくL負荷型の広帯域2段増幅ですが、使用するFETを部品の入手性を考慮して、デュアルゲートMOSからシングルゲートMOSの2SK241に変更しました。
それに伴い、AGCアンプも負電源動作として、2SK241のゲートを負のAGC電圧でコントロールしています。
なお、AGCアンプの負電源は、DDSの25MHzクロック発信器の出力を負方向に整流することで得ています。

また、FETは周波数特性が良すぎて異常発振を起こしやすいので、2SK241のゲートにフェライトビーズFB101を挿入してVHF帯以上で起こる異常発振を防止しています。

 2SK241 のゲートに挿入したフェライトビーズFB101

2SK241は、シングルゲートなので回路的には簡単ですが以前、PLL VXO トランシーバでも発表したとおり、あまりAGC特性が良くなく、強信号受信時のAGCの行過ぎによるヒャックリ現象の
押さえ込みに苦労しました。
このヒャックリ現象の対策としてAGCアンプの負電源をマイナス1Vとし、AGCの動作範囲を0~マイナス1VとしてAGCの行過ぎ量を制限しています。
回路図のD8、D9およびR21でマイナス1Vの負電源を生成しています。



なお、2SK241はゲート電圧をマイナス1V程度まで下げるとかなり強烈にゲインが下がります。さらにIF2段にAGCを掛けていますので、AGCの動作としては結構深くまで掛かってくれるので、
強力な受信信号でも押さえ込むことが出来ています。

それから、本機をバラックで実験していた時は問題なかったのですが、プリント基板化して動作させたところ、IFアンプからAGCアンプに至る部分で3MHz付近の異常発振が発生し、AGCが
自家中毒状態になりAGC電圧が発生して、受信ゲインが下がるという現象が発生しました。
プリント基板を小型に作ったため、アンプの各段が結合してしまったようです。
この対策として、IF2段目の出力部にC59(33pF)をプリント基板の半田側に裏付けしています。

 裏付けした発振防止用 C59(33pF)

このC59とL8(39uH)で4メガ付近の共振回路を形成しますので、結果的には初めに述べたような「L負荷型の広帯域2段増幅」ではなくなってしまいました。