クリスタルフィルタ
昨年(2006年4月)発表した Paddy Fielder 40 は 4.43MHz のHC-49U(背の高いタイプ)のクリスタルでフィルタを構成しましたが、近頃この周波数のものの入手が難しくなってきたようです。
そこで、本機では 入手性を考慮して周波数4.194304MHz 、HC-49US(背の低いタイプ)のクリスタルでフィルタを構成しました。
左が HC-49U 右が HC-49US
フィルタの特性は回路図の諸元で帯域幅が約300ヘルツ、中心周波数が4.193780MHz
となりました。
しかし、本機のような市販のクリスタルを組み合わせたフィルタの場合、メーカやロットでフィルタの特性が変わってきます。
特に中心周波数の違いは、送受信の周波数に影響しますので、従来はフィルタの中心周波数をキッチリ測定して、それに合わせてミキサーのOSC周波数を決定する必要がありました。
しかし、本機の場合、CPUの周波数データ生成ルーチン内にフィルタの中心周波数データを半固定ボリュームによる電圧値をAD変換して取り込むことで、フィルタの中心周波数のバラツキに
対応できるようにしています。
さらに、この半固定ボリュームの調整は、周波数カウンタなどの測定器は不要で、単に送受信の周波数が一致するように調整するだけでOKです。
調整の具体的な方法は、調整法のページをご覧下さい。
なお、フィルタの帯域幅のバラツキに関しては、もし帯域が狭い、あるいは広すぎると感じるようでしたら、回路図のC9~C12およびR1をカットアンドトライすることで、調整できます。
ただし、C9~C12とR1の値は以下の条件を満足する必要があります。(キッチリこの条件でなくてもE12系列に当てはまる範囲で合っていれば良い)
(1)C9 = C12
(2)C10 = C11 = C9 X 2
(3)R1 = C12のリアクタンス値 (即ち=1 / (2πf C) ここで、f=4.194MHz、 C=C12の容量値)
コンデンサの値を小さくすると帯域幅は広がります。逆に大きくすると帯域幅は狭くなりますが、あまり狭くするとチューニングが難しくなりますし、フィルタの損失も増えますので、ほどほどに
しておく方が良いでしょう。
また、本機の場合、フィルタの入力側のマッチング抵抗を省略しています。(出力側はR1で終端してあります。)
マッチング抵抗が無いとフィルタの周波数特性がバタバタ暴れてくるので良くないのですが、実際受信音を聞いてみたところ聴感的に全く問題なかったので、本機の場合、入力側だけマッチング抵抗
を省いています。